僕が使う機材は故障やトラブルが極めて少ない。
特別な扱いはしていないけれど、
みんな壊れて当然だと思う使い方をしている。
数年前に初めてHDDのトラブルが起きた。
福島師匠に助けて頂いたけれど、
サルベージが出来なかったデータが幾つかある。
此の作品のドライデータもその1つ。
僕のミックスはベーシックなEQやコンプ、
オートメーションを書いた細かなエフェクトも含めて、
全て掛録りを施す。
今では無限にプラグインを挿せるけれど、
当時は挙動が鈍くなった。小数点以下の遅れでも、
クリエイティブのやる気を削ぐ。
自分の音には自信しかなかったから、掛録りを済ませて、
ボリュームとパンニングの処理だけにする。
仕上がるとドライデータとミックスデータの2種類になる。
提出音源はそれぞれ選んでCD-Rに落とし込む。
それがネットで提出をしたりメモリやHDDの持ち込みになると、
基本的にデータの所在はHDDだけになる。
以前のCD-Rは残っているけれど、
HDDに依存した時期に制作した数曲のデータが、
トラブルで損なわれたり破損する事になった。
此の作品はMac本体に残っていたミックスデータだけになった。
ミックスをしていない歌い手の音源も多くあり、
とても残念だった。今ではSSDを3つバックアップに使っている。
歌のミックスではなるべくドライに聴かせたいけれど、
他の音に馴染ませるにはディレイとリバーブは欠かせない。
リバーブは除去出来てもディレイは残る。
作曲と歌の素晴らしさを伝えるには、
オケの引算をしていく。そうなると歌の無駄なエフェクトが目立つ。
いつもそこでサスペンドにしてきたけれど、
拘らなければ問題ない。寧ろ歌は全てを凌駕していた。
引算と差換えをしながら纏めていった。
イントロのメロディはナイロン弦は確定、
ギターにするかウクレレにするか悩んだけれど、
どちらも出力する事にした。
エレキとドラムを排除した。ベースはアップライトに差換え。
BunnyJamを軸に残っている歌を少し混ぜた。
マスタリングでは、
いつもは使わないと謂うか選ばないEQポイントを強調した。
なんとなく聴けば違和感だと思うけれど、
一定のシチュエーションが揃うと、此の音は効果を発揮する。
クリスマスには程遠いけれど、
僕には今のタイミングしかなかった。
他のクリスマスソングを書く気もないし、唯一無二で良いと思う。
最初の英詞でワンコーラスしかなかった頃から約16年、
様々な物語が1曲の中に込められてきた。
仕事でしか音楽は演らない。
対価の問題ではなくて、意識の問題でしかないけれど、
此の1曲だけは特別。
11.03.2024
RastaXmas
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